彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)





静かに覚悟を決める私に、浮かれ気味のよっちゃんがささやく。



「すがちゃん見て!店員さん達の持ってるタブレット!」

「タブレットが・・・どうかしましたか?」

「このお店、タブレットの貸し出しもしてるんだって!」

「え?なんのために?」わかっていたけどあえて聞く。

「そりゃあ、自分のスマホでゲームできない子のためだよ。」



よっちゃんに聞くことで、確認はとれた。

これは何とも便利だけど――――――



(友達を利用してるっていう罪悪感が、はんぱないな・・・)



「私も親が、お父さんがさ~変なゲームしてないかってうるさいんだよねー・・・これがバレたら、スマホ禁止にされそうでヤバいよ。」

「お父さん、ゲームとかに厳しいの?」

「ううん!、むしろ大好きな方かな。お父さん、ガンダムが特に好きで~初めてスマホ持った時に、『シャー専用』ってよくわかんないサイト見つけて、ガンダムが好きだったから、好奇心でクリックしたんだけど~」

「したんだけど?」

「それがクリック詐欺サイトで、翌月に30万も請求がきて、払わされたんだって!」

「ひどいね!?」

「ねぇー!?ガンダム好きを狙うとかひどいよねー!?幸い、おじいちゃんもガンダム好きだったから、スマホは没収されなかったけど、30万円の建て替えってことで、その年から、両親と親族からのお年玉なしになったんだよねー」

「それは、娘にも気をつけろって言うよ。親子心だよ。」

「まぁね・・・変なとこ、似ちゃった自覚はあるし、心配してもらってる自覚はあるよ?だけど、こういうお店があるなら、自分のスマホでゲームできない不自由な子供にとっては、バレないように遊べるってことで、優良店で間違いないね。」



(バレないって言うけど・・・・)

「そこのことなんだけど・・・」



ずっと疑問だったことを、よっちゃんに聞いた。





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