彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



凛君が、また危険な目にあっているというのはわかっていた。



「おい!校門のところにいる奴ら、ヤバい奴らしいぜ!?」

「龍星軍の方々を待ってんだってよ!」

「マジヤバい!族って、やっぱ、怖いよねぇ~!」

「先生呼んだ方が良くない?」

「円城寺君達呼んだ方がいいって!」



(わぁ・・・・!)



同級生達が騒ぐので、窓から外の様子を見る。

校門には、東山高校の生徒じゃない男の人達がいた。



「涼子!隠れて!見ちゃダメ!」

「え!?」



背後から腕をつかまれ、後ろへと引っ張られる。



「く、久美子ちゃん?」



窓から遠ざけてくれたのは、親友の佐藤久美子ちゃん。



「ダメだよ!ああいう悪い奴は、人の顔を覚えるのが得意なんだから!見つかったら危ないでしょう!?」

「え?あの人達が探してるのは、龍星軍の人達だよ?」

「だからでしょう!?・・・涼子、凛道さんに気に入られてること、自覚してる・・・!?」



怖い顔で言われ・・・というよりも、気に入られてると言う言葉で恥ずかしくなって視線をそらす。



「そ、そんなこと、ないよ・・・!」



久美子ちゃんが言う龍星軍の凛道さんは、龍星軍の総長をしている凛道蓮君のこと。

見た目も話し方も、ヤンキーとか不良とは思えないほど優しいけど、すっごく喧嘩に強い。

喧嘩だけじゃなくて、口喧嘩も強い。



(私なんかにも、すごく優しい・・・・)



凛君みたいなリア充系の不良君から見て、私のような地味な子、相手になんてしないと思う。

それなのに凛君はなぜか、涼子ちゃん、涼子ちゃんって・・・気にかけてくれる。



(・・・円城寺君のところまで案内したことに、恩を感じてくれてるのだとしたら、すごく義理堅いな・・・)



〔★そこは、涼子自身を気に入っていると思っていい★〕





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