彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「なんでいるんだ、お前ら?貸し切りって、何企んでるんだ、坊主?」



そう言ったおじさんの手が私の方へと伸びてくる。



ガシガシ!

「わ!?痛い痛い。」



頭をなでてるのか、つついてるのか、わからない感じで触られる。



「おい、困るぜ刑事さん!チョコちゃんをいじめないでくれ!」



瑞希お兄ちゃんよりも先に注意してくれたのは町内会長さん。

これにおじさんは、へっ!と鼻を鳴らしながら言った。



「どちらかってゆーと、俺らがいじりたおされてる側だぞ?」

「そうですね!てか、あなた町内会長でしたよね!?ずいぶん、凛道蓮に甘いじゃないですか!?」



文句ありげな感じで言う岩倉という刑事に、年上の会長さんは鼻で笑うと言った。



「そりゃあ、チョコちゃんて名前だからな!甘いと思うぜ!?」

「そうじゃなくて!」



岩倉をからかう会長さんを横目に、おじさんはため息をつく。



「じゃあ、今日はここで飯は食えないってことかい?」

「うーん、そうだけど・・・店長さーん、どうする!?」



厨房に向かって渡瀬さんが叫べば、



「お任せ定食なら作れる。」



中年の店長さんがこっちへ顔を出しながら答えてくれた。



「やったー食べれる!」

「すみません、ありがとうございます。」

「悪いな、親父。」



岩倉は大喜びで、荒川は礼儀正しく、おじさんはのんびりした口調でそう言うと、テーブル席へと腰を下ろした。



「おじさん、よくここにくるんですか?」

「MESSIAHの件から、通ってんだよ。」

「へえ~あんなごみ集団が、招き猫の役割を果たすとは驚きですね~」

「お前が龍星軍の頭だってことと同じぐれー驚きだよ!神城とはどうなんだ!?」

「どうとは?」

「会ってんだろう?」

「会ってませんよ?」

「この前つるんでただろう?」

「あれは偶然会っただけですよ。」

「コラ、隠してるとためにならないぞ!凛道蓮!?」



おじさんと私の会話に、岩倉という刑事が乱入する。

面倒くさいと思ったけど、言うだけ言っておいた。






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