彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「隠してませんよ。どこにいるかも知らなのいですから。」
「またそんなウソを!」
「嘘じゃないです。」
「やめろ、岩倉!こいつ、マジで知らねぇみてぇーだ。」
「でも!」
「あんまりいじめると、飯どころか、大原さんが仕切ってる町内会の人々に嫌われるぜ?」
「わかってんじゃねぇか、フジバラちゃん?」
「1回は聞いておこうと思ったんだが・・・なんで、凛道を町内会のパトロール隊に入れた?」
「そりゃあ、良い子だからさ。」
低い声で言うおじさんとは真逆の明るい声で会長さんは言う。
「暴走族の頭だぞ?」
「でも、良い子なんだ。素直で、聞き分けが良くて、礼儀正しい。不良と呼ばれるのが不思議なぐらいだ。」
「その上ケンカも強くて、悪知恵も働く、だろう?警察が介入できない、やっかいな民事を、ヤンキーの凛道蓮をぶつけて解決させてるらしいな?」
「何が言いたいんだね?」
「凛道蓮の不良の力を、都合よく利用するのはやめろって言ってるんだよ!」
「フジバラちゃんが誤解するのは勝手だが、わしはチョコちゃんを実の息子だと思ってる。孫と言われても許せる。許せないのはフジバラちゃん・・・あんたがライター型の爪楊枝で、チョコちゃんを逮捕しようとしたことだ。最初から、罪をでっちあげて捕まえようとする根性が好きになれん。」
「そりゃすまなかったな。2度とミスはしないから勘弁してくれ。」
(な、なんか、空気が重い・・・)
険悪なムードが、おじさんと会長さんから発せられている気がした。
しかも、話の内容が自分にかかわることなので気まずい。