彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
◇仕返し上等!!だまし討ちにはだまし討ちを!!◇




証拠がない。

その言葉がずっと引っかかっていた。

凛道蓮から菅原凛に戻ってからも、頭から離れない。

さすがに、実力テストが終わった後の授業の時間は、距離をとって勉強だけに集中した。

でも・・・



(証拠さえあれば、GREATSTAGEを倒せるのに・・・)



4時間目の授業を終え、人目につかないように体育館の裏に向かいながら考えた。



(もう一度変装して、お店に行くのは無理だろうな・・・。)



きっと入れてもらえない。



(さわぎの原因撮った神城さんの彼女と一緒にいたから・・・)



出禁になってるだろうな・・・私も瑞希お兄ちゃんも。

ヤマトはグレーゾーンだけど。

仮に私とお兄ちゃんが無関係だとわかってもらえたとしても、監視の目がつくはずだからいい情報は手に入らないだろうな。



(証拠をつかまないと・・・・黒幕は捕まえられない・・・どうすれば、証拠をつかめるだろう・・・)



「菅原さん。」



不意に名前を呼ばれる。

学校で名前を呼ばれる=いじめの攻撃にあうこと。

だから、とっさに身構えてしまったが、目にした人物を確認して脱力する。




「・・・後藤先生。」




私を、菅原凛を呼んだのは、1年の世界史担当の後藤先生だった。

名前を呼んだら、ホッとしたような顔で再度口を開く。



「菅原さん、吉田さんを見なかった?」

「え?見てませんが・・・」



そう言って、しまった!と思う。

今の返事だと、よっちゃんと一緒にいる前提の答えになってしまう!!





「ク、クラスが違う私に言われてもわかりませんよ?」





一緒にいると思われないために、慌てて弁解する。





「そうだよね、ごめんね。同じ委員会だから、何か知ってると思ったんだけど・・・」



(あ、そういう意味ならセーフだったか?)





安堵したら、次は疑問がわいてきた。







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