彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「助けてください!!」

「あ?」




龍星軍が『GREAT STAGE』をつぶすなら、小村はきっと私も巻き込む。

(そんなのごめんよ!!)




「しかたなかったんです!言いなりになるしか・・・悪いことだとわかってて、逆らえなかった!小村に、暴力で支配されてたんです!」

「なるほど・・・逃げ道がなかったと言うことですか?」

「そうです!私、だまされて、感覚がマヒしてました!小村さんの仲間になるしか、助かる道がなかったんです!」

「そうでしたか・・・かわいそうに・・・」

「わ、わかってくれますか?」



相手に近づきながら提案する。





「凛道さんさえよければ、協力させて下さい!私、小村へのスパイでも何でもしますから!」

「情報提供してくれるのですか?」

「します!何でもしますから助けて下さい!」

「じゃあ、小村から渡されてるゲームのアカウントを、君のスマホを見せてもらえますか?」

「もちろんです!」





そんなことで助かるなら話が早い。

急いでカバンから、小村に返してもらったスマホを出す。

ゲームのIDを表示して、凛道蓮さんに差し出した。





「ありがとうございます。」





手袋をした手が伸びてくる。





「すぐ見れるようにしてくれたのですね。助かります。」

「い、いえ!」





優しくて丁寧な言葉づかいで答えてくれた凛道さん。

顔を隠しているからわからないけど、すごく良い香りがした。

カッコいい・・・これが全国ナンバーワンの男なんだ・・・!

そんな人を味方にできたんだから、私は助かる。

いくら菅原凛を、同級生1人を差し出したとはいっても、安全が確保されたわけじゃない。

あいつらは、気まぐれで私をいじめる可能性がまだある。

だけど、凛道蓮が私を守ってくれるなら怖くない。





(何も怖くない!私は助かったんだ!)





もともと私は悪くなかったんだから、助かって当然よ。

やっと、心から安心して笑うことができた。








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