彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
◆ヤンキーに、なぐさめられる◆
いつも通り、瑞希お兄ちゃんのもとへ行った。
「・・・こんばんは。遅くなりました。」
「お、凛たん。お使い終わったか?」
お店が始まってる時間だから、裏口から静かに入った。
そんな私に気付いた烈司さんが、営業中の店内から顔出す。
「ごじゅうあらしも一緒か?」
「うははは!おこんばんはですぅー!」
「ヤマト、声を小さくしてください!すみません、瑞希お兄ちゃんのお使いで遅くなりました。」
「わかってるって♪瑞希はドリンクづくりで修羅場中。少し待ってな?」
「わかりました。着替えてきます。」
「うははは!わし、つきそい~」
和室においてあるエプロンを腰につける。
モニカちゃんがキレイに洗濯してくれてるギャルソンのエプロン。
『りん』と書かれたネームを付けた時だった。
「凛、来たのか!?」
和室の戸が開く。
「瑞希お兄ちゃん。」
「ナイスタイミング!やっと一息付けるわ!買い物サンキューな!」
額の汗をぬぐいながら笑う大好きな方。
「ちゃんとハンカチで拭いて下さい。」
自宅から持ってきた清潔な布を取り出し、彼のほっぺをふく。
―もう大丈夫だから。―
目の前の瑞希お兄ちゃんと、あの時のミクさんが重なる。
(あんなことさえなければ・・・)
「凛?」
「・・・はい?なんですか?」
聞き返した瞬間――――――――
コツン!
「え?」
私の額に、瑞希お兄ちゃんの額がくっつく。
「え・・・!?」
思わぬ近距離。
「瑞希!?凛たんに、なにし―――――――」
「あつい!」
(え!?)
烈司さんの声を、瑞希お兄ちゃんが遮りながら言った。