彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




「熱がある!」

「「えっ!?」」



そう言うなり、私の横抱きにして抱き上げた。

俗にいう、お姫様抱っこ。





「えぇええ!?」

「烈司、凛、熱があるみてぇーだから、寝かせてくる!」

「はあ!?マジか凛たん!?風邪か!?風邪なのか!?確か薬がこのへんに~!?」

「俺が面倒見るから!」

「瑞希?」





薬を取りに行こうとする烈司さんに、瑞希お兄ちゃんは声をひそめながら言った。





「少しの間、頼むわ。モニカに、俺の代わりを頼んでてくれ。」

「それはいいけどよー・・・」

「頼んだぞ。」





そのまま私を抱きかかえて、和室を出て住居スペースへと移動する。





(か・・・風邪って??)

私、風邪ひいてないよ?

それとも私に、自覚症状がないってこと?

瑞希お兄ちゃんが風邪だと判断するだけの症状が出てたの?



(そっか・・・飲食業だから。風邪とか最悪だよね・・・最悪だよ・・・瑞希お兄ちゃんのお手伝いさえできないなんて・・・・)





しょんぼりしているうちに、私の部屋に到着する。

素早く私をベッドに座らせる瑞希お兄ちゃん。





「凛、楽にしろ。」

「すみません・・・自分ではわからないのですが、僕って風邪なんですか?」

「なわけねぇーだろう?」

「え?」

「風邪とでも言わねぇーと、2人きりになれねぇだろうーが!」

「え・・・!?」





真顔で言われてドキッとする。

心臓が高鳴る。





(ふっ・・・ふふふふふ二人っきりに、なれないって!?瑞希お兄ちゃん、私と二人っきりになりたかってこと!?)





嬉しい言葉に戸惑っていれば、瑞希お兄ちゃんがじっと私を見ながら言った。






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