彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「なにがあった?」
「な・・・え?」
「なにかあっただだろう?」
その言葉で、さっきとは違った意味で心臓がドキッとした。
「な・・・にかって・・・・?」
「いつもと違うじゃんか?顔色悪りぃーよ。」
「え・・・?」
「凛のことだから、心配かけたくねぇって理由で隠してるんだろうけど・・・俺、お前の兄貴だぞ?何度も言ってっけど、甘えろよ?」
「・・・瑞希お兄ちゃん・・・」
「おう。」
目の前の好きな人の名を呼べば、向かい合っている距離が縮まる
正面から抱きしめてくれた。
両手で優しく抱き寄せてくれたのだ。
「身体に力入りすぎだ。力まず、ゆるめろよ。な?」
「・・・・・うっ、うん・・・・!」
「俺の前で、我慢しなくていい。頑張らなくていい。平気な振りなんか、しなくていいんだ。」
その言葉で、張り詰めていた糸が切れた気がした。
―なにが友達よ!いじめられっ子のくせに!!親友なわけないでしょう!!?―
信頼関係を否定され、バカにされた。
―あんたのせいで、あたしはひどい目にあったの!?それに言ったでしょ!?『すがちゃんのおかげで助かったよ』って?―
利用しただけだと言われた。
―お前が登録したIDでできた借金はお前の借金なんだよ、ゴミ原。―
私がしたことじゃないのに、私のせいにされた。
―あははは!初めて見たぁ~菅原の泣き顔!―
苦しむ姿を笑いものにされた。
―お兄さん達と良いことしようよぉ~凛ちゃ~ん?―
知らない男達にレイプされそうになった。
―こいつ処女なら、売った方がよくね!?―
私という人間に値段をつけられた。
―親孝行したいなら、親を悲しませること言うなよなぁー?―
親までも脅しの材料に使われた。
―覚えとけ!借金返せない時は、昨日の撮影会の続きだからな・・・!?―
脅されて、ひどい扱いを受けて―――――――――――
―フッチーちゃんが好きにしろって言ったんだぜ?―
いじめっ子のボスが、そのすべてを仕組んだと知らされた。
思い出したくもない言葉が、記憶がよみがえる。