彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「うっうっ!うえええ!うわぁぁぁあああ!!」
ヤマトの前でさんざん泣いて、吹っ切れたはずなのに。
(ぜんぜん、苦しい気持ちが消えてない!!)
「ああああ!うわああああ!うぐぐ、うう、ううっ・・・!!」
(考えないようにしてるのに、どうしてまだ、思い出してしまうの・・・!?怖いと思ってしまうの!?)
恐怖=負けのような気持になり、悔しくてたまらない。
怖さと悔しさが心を支配していく。
(あんなクズ達相手に恐怖を感じるなんて―――――――――――そんな自分が嫌だ!!)
違う違う違う!
怖がってなんかいない!!
そう思ったら敗けだとわかってるのに!!
(怖いと認めたらダメなのに―――――――――――――――――!!)
「泣いていいんだ、凛。俺に素直なように、自分にも素直でいいんだ。我慢しなくていいんだ。」
「み、ずき、おにいちゃ・・・!?」
「凛は悪くない。」
表情は穏やかなのに、声は力強かった。
それで、私の中の何かが切れた。
「・・・・・・・怖かったよぉ・・・・・・・!!」
しぼりだすようにして出した言葉と声。
好きな人に見せていい姿じゃない。
こんな恥ずかしいところ。
素直な気持ちを口にした。
「怖かった!すごく、怖かったよぉ!」
自分の弱さを認める言葉をつむげば、強く、強く、私を抱きしめてくれる瑞希お兄ちゃん。
その仕草にヤマトとは違った安心感があった。
「瑞希お兄ちゃん・・・!!」
すごく安堵したけど、そんな相手にすごく不安にもなった。