彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)





「うっうっ!うえええ!うわぁぁぁあああ!!」



ヤマトの前でさんざん泣いて、吹っ切れたはずなのに。



(ぜんぜん、苦しい気持ちが消えてない!!)



「ああああ!うわああああ!うぐぐ、うう、ううっ・・・!!」



(考えないようにしてるのに、どうしてまだ、思い出してしまうの・・・!?怖いと思ってしまうの!?)



恐怖=負けのような気持になり、悔しくてたまらない。

怖さと悔しさが心を支配していく。





(あんなクズ達相手に恐怖を感じるなんて―――――――――――そんな自分が嫌だ!!)





違う違う違う!

怖がってなんかいない!!

そう思ったら敗けだとわかってるのに!!





(怖いと認めたらダメなのに―――――――――――――――――!!)



「泣いていいんだ、凛。俺に素直なように、自分にも素直でいいんだ。我慢しなくていいんだ。」

「み、ずき、おにいちゃ・・・!?」

「凛は悪くない。」





表情は穏やかなのに、声は力強かった。

それで、私の中の何かが切れた。






「・・・・・・・怖かったよぉ・・・・・・・!!」






しぼりだすようにして出した言葉と声。

好きな人に見せていい姿じゃない。

こんな恥ずかしいところ。

素直な気持ちを口にした。





「怖かった!すごく、怖かったよぉ!」





自分の弱さを認める言葉をつむげば、強く、強く、私を抱きしめてくれる瑞希お兄ちゃん。

その仕草にヤマトとは違った安心感があった。





「瑞希お兄ちゃん・・・!!」





すごく安堵したけど、そんな相手にすごく不安にもなった。







< 686 / 922 >

この作品をシェア

pagetop