彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



お願いしたと同時に画面がゆれる。

しばらくよくわからない映像が続いた後、映像が安定した。



〈で?埼玉県民のおまわりさんが、俺に何の用ですか?〉

〈久しぶりに会ったのに、その言い方はないだろう、真田君。更生は、進んでるかな?〉

〈おかげ様で。〉

〈その割には、龍星軍を復活させたって言うじゃないか?君に弟がいたのも初耳なんだけどな?その子に不良コース歩ませるのはよくないんじゃないか?〉

〈俺のプライベートに文句をつけに来たんじゃないんでしょう?〉

〈・・・・・ああ。真田君の弟さん、凛道蓮君と言ったかな?苗字が違うは違うけど、君に正義中毒らしいな?警察でもないのに、事件に首を突っ込んでるのは知ってるのか?〉

〈知ってますよ。あんたが犯人を逃がしちまったっていうウワサも知ってます。族高だか半グレだか知らねぇーけど、違法なネットカジノをしてる奴らだそうじゃないっすか?〉

〈逃がした時は、暴走族だった。埼玉から逃げてからは、半グレに変化しちまったよ。俺はその責任を取る覚悟でいた。それだけ自分が許せなかった。結果的には・・・・・・・・・・・左遷と降格にならなかった。理由は、俺がいないとサイバー捜査が進まないからだ。〉

〈日本のサイバー捜査が、海外に追いつくのは難しそうっすか?〉

〈努力はしてる。けど、なかなか・・・更新を育てながら実践で鍛えていくしかない。〉

〈ブラック企業並みだと、理数系の就活生が言ってましたよ?〉

〈これから変えていくさ。〉

〈あんたが左遷と降格にならなかったのは、人柄の良さじゃないですかね、横山さん?〉

〈お世辞よりも情報をくれ、初代龍星軍総長。引退したとか言いながら、後輩に悪い指導をしてることは、こっちでも噂になってるぞ?〉

〈引退したから、手出しはしてませんよ、俺は?〉

〈俺ら、じゃないのか?〉

〈失礼しました。俺ら、です。〉

〈あいかわらず、口が上手いな。〉



そう言って、コーヒーカップを口にする埼玉の横山さんという刑事さん。

そしてカップから口を話すと、一呼吸おいてから言った。







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