彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
〈神城龍志が、たずねてこなかったか?〉
(え?神城さんと知り合い?)
そういえば、埼玉の暴走族だったよね。
知ってる可能性は高い。
〈誰すか?つーか、俺は引退した身なんで、リアルタイムはわからないんすけど?〉
〈じゃあ、話を変えよう。今すぐ、凛道蓮君と会わせてくれないか?〉
(え!?なんで私!?)
〈無理です。あいつ今、風邪ひいて寝てるんですわ。〉
(え!?断ってくれた!?)
いきなりの面会希望に驚いたけど、先程の様に即答で断ってくれた瑞希お兄ちゃんにも驚いた。
〈ソーシャルディスタンスは守る。ここに4代目がいるなら、少しだけ話をさせてくれ。〉
〈ダメです。あいつは病弱ですから。横山さんに風邪でもうつしたらシャレになんないでしょ?〉
〈だからいつも、マスクしてるって言うのか?人前に出ない総長だと聞いたぞ?常に、風邪や病気というわけじゃないだろう?〉
〈好きに判断して下さい。ただし、凛はGREATSTAGEの件とは無関係です―――――つっても、なぜかよく、巻き込まれますけど。〉
〈じゃあ、連絡先だけでも、凛道君に渡しておいてくれ。彼の体調の良い時に、俺に連絡するように伝えてくれ。〉
そう言って、メモ紙をお兄ちゃんの前に置くと席から立ち上がる。
〈コーヒー美味しかったよ。ごちそう様。〉
レジにいた烈司さんにお金を渡して、おつりを受け取ってお店から出る。
完全にいなくなったところで、瑞希お兄ちゃんが言った。
〈埼玉県警までからんでくるとか・・・どんだけ運がねぇーんだよ。〉
〈烈司には悪いが、今日、鳴海瑠華と凛を会せるのは無理だ。〉
(え!?)
〈だから、明日に延~〉
「瑠華さんと会えるの!?!?」
〈え!?凛!?〉
しまった!バレた!と思ったと同時に画面が乱れる。
ヤマトは逃げ出したようだけど―――――――
〈そっちに行ったぞ。〉
〈ここは通さないわよぉ~!?〉
〈わははは!つーかーまーえーたぁ~!?〉
〈あー!?かんにんやでー!!〉
獅子島さん、モニカちゃん、百鬼の順で声がした。
会話の内容からして、ヤマトは野獣に捕縛されてしまったらしい。
〔★ヤマトの逃走は失敗した★〕