彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「お菓子もお持ちしましたので、どうぞ召し上がれ。」
そう言って、ストロー付きのジュースと、ガラスの器に入ったアイスクリームを出してくれた。
「わぁ、ありがとうございます!」
「まずは冷たいもので、体をうるおしてください。」
「じゃあ、お言葉に甘えるか、凛たん、瑞希?」
「そうだな。凛、頂きなさい。」
「はい!ツバキさん、ありがとうございます!頂きます!」
バニラアイスには、ラブベリーがのっていて、口の中で美味しくまざる。
「美味しいです。」
「お口に合ってよかったわ。」
「凛の言う通り、うまいっす。」
「ホント、美味しいよ~ツバキちゃん?」
「本当ですか、ツカサさん!よかったぁ~!これお取り寄せの牧場のバニラアイスなんですぅ~」
「へえーうまいはずだね~」
(ホント、リアクションに差があるわね・・・)
もしかしてツバキさん、烈司さんのこと好きなのかな?
そう思いつつも、穏やかな雰囲気になったところで、ツバキさんに尋ねた。
「あの、瑠華さんはどちらに?」
とたんに、恋する乙女の顔だった、ツバキさんの表情が変わる。
「実は・・・瑠華ったら、昨日から部屋に閉じこもって出てこないんです・・・」
「出てこない?」
「ええ・・・。」
思わず聞き返せば、ツバキさんは気まずそうに教えてくれた。
「凛道さんが来ることも伝えて、出てくるように言ったんですが・・・」
「籠城(ろうじょう)ですか?」
「そうとも言えます。あの、単刀直入で言います。凛道さん、『龍志』という男に会いましたか?」
「龍志?」
あの人のこと?
「『神城龍志』と呼ばれている人には会いましたね・・・」
彼女とのラブシーンを見せつけてくれた、ケンカが強い人。
「ツバキさんの知り合いですか?」
「ええ・・・」
私の問いに、一瞬嫌そうな顔をする美人。
「あー・・・もしかして、関わりたくない感じの方ですか?」
「いいえ、大丈夫です。それも含めて・・・最初からお話します。」
すぐに笑顔に戻るとツバキさんは言った。