彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「自分の彼女を差し出そうとしたってことですか!?」

「そうなんです。」



確認のために聞き返せば、あっさり肯定(こうてい)される。



「そんな・・・恋人にそんなことを頼むなんて、最低ですよ!」

「いえ、ほぼ、強制ですよ。瑠華が永山偉人の目を盗んで、あたしのところに逃げ込んだ時にはDVクソ野郎になってましたから。」

「それからどうなったんですか!?別れましたよね!?」

「瑠華本人が別れる気なので当然です。プライドの高いDV野郎は最後まで別れるのを拒否しましたが、あたしが、あたしのお店のママや他の大人の協力を得て、瑠華と元カレを別れさせました。いろんな方のご協力を頂き、別れられました。」

「そうでしたか、よかった・・・!」

「ええ、そこまではよかったんです。」

「え?どういう意味ですか?」

「結末が、よくなかったんですよ。最後のつめが甘かった・・・ということです。・・・リベンジポルノはご存じですか?」

「リベン・・・?」

あれか!?


ますみちゃんがやられたことだ。


「逆ギレした永山偉人が、瑠華と性行為をしてるシーンを隠し撮りしてたんです。あたし達はもちろん、瑠華本人も知らなくて―――――――!それをデマと一緒にDV野郎は流したんです。」

「最低なDVD野郎ですね!?」

「DVです。プライドの高いDV野郎は、そうすることで瑠華の生活をめちゃくちゃにしただけじゃなく、インターネット賭博を無許可でしたヤクザに対して払うお金を作る費用にあてたんです。キャッチフレーズも、『ヤクザの女になろうとして、体を売ってるヤリマン』だと・・・自分が始めたインターネットカジノも、『瑠華にみつぐためにやったことだ』と大ウソまで付け足しまして・・・!」

「ええ!?本当に最低じゃないですか!?どうなったんですか!?」

「あたしも、悪い噂を消そうとしましたが・・・女に嫌われている瑠華の悪い噂は回るのが早く、警察に画像を送って密告した小娘たちのおかげで瑠華は補導されました。それでますます、売春と違法賭博と男好きが『事実』になってしまい・・・『姫』と呼ばれたあの子が、あっという間に『公衆便所』ですよ。」

「公衆便所?」



意味が分からなく瑞希お兄ちゃんを見れば、眉間にしわを寄せたお顔で答えて下さった。




< 706 / 922 >

この作品をシェア

pagetop