彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「龍志は、永山偉人が瑠華にちょっかいをかけていることを知って、密かに永山偉人を警察に突き出そうと、闇カジノの証拠探しをしていました。」
「神城さんが瑠華さんのために?」
「そうです。龍志が、違法カジノのデータを置いている店の場所を突き止めて現場に到着したのと、警察が令状をもって踏み込むのと鉢合わせになったのです。龍志は、車から降りる顔見知りの警官を見つけて、店の前で現行犯逮捕を頼んだ時、運悪く、たばこを吸いに外に出ていた永山偉人の部下に見つかって・・・・」
「・・・見つかって?」
「部下が永山にそのことを知らせてしまったので、警官が踏み込む前に、あっという間に証拠は消滅されて、逮捕できませんでした。」
「タイミング悪すぎますね?」
「あたしもそう思います。」
正直な感想を述べれば、バツが悪そうにツバキさんが答える。
「けっきょく、龍志の顔見知りの警官はそれで減給になり、永山はちゃっかり逃げちゃいました。それで龍志は・・・自分のせいだって責任を感じて、瑠華のためにも、迷惑をかけた警官の汚名返上のために、逃げた永山偉人を探し始めたんです。瑠華が、自分のために龍志が動いてくれてるとわかったのもあって、瑠華は龍志に協力していたんですよ。」
「一緒に捜索してたのですか?」
「ええ。龍志の役に立ちたいって言って・・・実際、幼馴染のお子様よりは役に立ってたそうですよ、瑠華は。幸か不幸か、永山偉人の交友関係にも詳しかったですから。それなのに――――――――・・・・」
そこでツバキさんの言葉が止まる。