彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「どうしました?」
「・・・。」
「ツバキさん・・・?」
相手は言いたそうにしてるけど、声になってない。
いや、言おうかどうしようか迷ってるように見える。
「ツバキさん、無理に話そうとしないで下さい。大体のことがわかれば十分です。」
「それじゃダメなんです!!」
突然、ツバキさんが大声を上げる。
「大体じゃダメなんです!!凛道さんには、龍星軍の方々には、真実を正しく伝えたいんです!」
目を潤ませながら訴ええるツバキさんに気圧(けお)される。
相手の勢いに押されたが、だからこそ―――――――
「それだけ、あなたが話そうとしていることは、重要なのですね?」
「はいっ・・・!」
私の問いかけにうなずくと、深呼吸してからツバキさんは告げる。
「・・・非通知で、タレこみ情報が龍志に届いたんです。」
「タレこみ??」
「・・・『龍勢偉鎧 (りゅうせいかい)の犯罪の証拠と、黒幕がいる場所を教える』って。怪しかったけど、言われた場所に龍志達が行ってみたら――――――――」
「行ってみたら?」
「データと、縛り上げられた『龍勢偉鎧 (りゅうせいかい)』の『幹部』の近くに、全裸の瑠華がいたそうです。」
「えっ・・・!?」
(全裸って・・・)
ツバキさんの説明で、体に嫌な汗が流れた。
悪い予感がした。
「一目で・・・何をされたかわかる姿で、倒れていたそうです。急いで病院に運んで手当てをして――――妊娠はしていませんでした。」
「に、にんしん!?」
今私が考えている、最悪の予想に近づくような言葉。
ここまで聞いたら、何をされてしまったのかわかる。
「男達は、避妊具(ひにんぐ)をつけてくれてましたからね。」
「っ・・・!?」
(レイプされた・・・・・・・・!?)
気持ちが悪くなる。
(吐き気がする・・・!)
―あははは!初めて見たぁ~菅原の泣き顔!―
―いいじゃん、いいじゃん~初心さがイイねぇ~―
―お兄さん達と良いことしようよぉ~凛ちゃ~ん?―
忘れたい出来事が、声が、感触がよみがえる。