彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
ヤマトと別れた後、私はその足で自分の教室へと戻った。
荷物を取りに戻ったのだが――――――――
(あれ?誰もいない?)
とっくに戻っていてもおかしくない。
教室の鍵は、窓も含めてしまったまま。
(まさか、全員もう帰った?)
いや、それにしては早すぎる。
(それとも、仲良しこよしのA組クラス一同で、スローペース移動をしてるだけかも・・・)
仕方なく、教室の前で部屋の鍵を持った同級生が帰ってくるのを待った。
待ったのだが・・・
「やっと終わった~」
「帰ろうぜ~」
隣のB組の生徒が帰ってきてるのに・・・待っても待っても、A組の生徒が帰って来ない。
(どうしたのかな・・・?)
だんだんと人が減って行く。
不安よりも、焦りといら立ちが募る。
私の前を通り過ぎる生徒はみんな、こっちを見てくすくす笑っている。
(本当に嫌な感じ・・・早く帰ってこないかな・・・)
何度そう思ったかわからない。
(こんなに待たされるなら、荷物を置いて瑞希お兄ちゃんのところに行ってもよかったかもしれない・・・)
そんな風に後悔してる時だった。
「カギしめるよ~」
「あー待って~すぐ行くぅ!」
B組の教室から、最後生徒達が出てくる。
その顔は見たことがあった。
違うクラスの渕上の取り巻き。
私に嫌がらせをして、その結果を渕上達に報告しているらしい。
そんな奴らなので、視線を合わせないようにソッポを向いたのだが、意地の悪い声が聞こえてきた。
「ねぇ、聞いた~?フッチー達A組、終業式が終わってすぐに、『新学期頑張ろう会』へ行ったんだって!」
「知ってる知ってる!教室に帰らないで、そのままルノアちゃんが呼んだバスに乗ったんだよね?」
(え?)
・・・・・終業式が終わってすぐ・・・教室に帰らないで・・・?
思わず、B組のいじめっ子達を見れば、ドヤ顔で私を見ていた。