彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「今日、宿題以外持ってくるものもないから、荷物は置いて帰ったってー!」
「そうそう、手ぶらで帰ったんだってね~?教室の鍵はどうしたんだろう~?」
「学級委員長が持ち歩いてるんじゃなーい?それも知らないで、教室の前で待ってるとか馬鹿だよねー?」
「始業式も締め出されて、帰りも締め出されるとか、どんだけボッチなんだろう~?ねぇねぇ、どんな気持ちー?」
「ど~んな気持ち~?キャハハ!」
甲高い笑い声を上げると、私を指さしながら走り去って行った。
「ふ・・・・・・・・・・・・・ざけんな・・・・・・・・・・・」
思わず、凛道蓮の口調になる。
幸運だったのは、その言葉遣いを誰にも聞かれなかった。
たった1人だけになった廊下で、強くこぶしを握り締める。
(・・・・・・・手ぶらで帰れってか?)
手の込んだ嫌がらせしやって。
ガチでくだらねぇ、いじめばっかりしやがってよぉ~・・・!
(『菅原凛』だから無抵抗でシカトしてるが、そんなに『凛道蓮』でぶっ殺・・・!!?)
そこまで考えて我に返る。
深呼吸をする。
(落ち着け凛道蓮モードでボコボコにしてしまう・・・・!!)
ただでさえ、吉田さんの件で、凛道蓮のスイッチが入ったのだ。
学校でキレるわけにはいかない。
こんな、場所でキレれない。
A組が誰もいないところで怒りたくない。
(同じキレるなら、A組メンバーがそろったところで全員を血祭りにあげるのが筋だろう・・・・!!)
〔★ヤキを入れたい気持ちはある★〕
こうなっては、一刻も早くこの場立ち去ろう。
そして、一刻も早く瑞希お兄ちゃんに会いに行こう。
(愛しい人に癒して頂かないと!!)
悔しい気持ちを押し殺しながら、教室を離れる。
すれ違う人達みんなが、こっちを見て笑っている気がする。
「やべ!気づくのが遅すぎだろう~?」
「ルノアさんに動画送っちゃおう~」
「リアルタイム実況やばーい♪」
笑うどころか、無断で撮影すんなや、コラ!!
(肖像権侵害で訴えられてぇーか・・・!?)
なんとか、凛道蓮を抑えながら、下駄箱までたどり着く。