彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
自分の靴を入れている場所まで来たのだが―――――――
「・・・。」
真っ先に目に飛び込んできたのは、不自然に置かれたゴミ箱。
私の外履きがある場所の間に、ゴミ箱が移動していた。
それで予想はついた。
近づいて中をのぞけば、ゴミ箱の中に私の荷物が入っていた。
「・・・。」
(・・・・ありがたいことだね・・・・)
手ぶらでは帰らせない。
(汚れたカバンで帰らせてくれるだけ、マシってことか?)
「見てよ!見つけたみたい。」
「うわ~汚~い!」
ゴミ箱の前で立ち尽くす私を、靴箱の陰から撮影する他のクラスの女子。
(・・・・あれは、C組にいる渕上の仲間だな。)
「菅原さん、リアクションが悪~い!」
「感情、死んでんじゃねぇの~?」
私を見て笑っているが、無視してカバンを取り出す。
「きゃー!汚ーい!」
「ゴミあさってる!」
「リアル乞食!」
「ホームレス女子高生~!」
楽しそうに言うC組在籍のいじめっ子を無視する。
カバンの中を確認すれば、空っぽのペンケースと無傷の宿題があった。
(・・・ああ、そういうことか。)
それを見て、敵の考えを理解した。
(そうだね・・・私の宿題を写す気なら、私から宿題はとらないよね。)
ペンケースの中のシャーペンと消しゴムとボールペンと・・・それらは奪っても、宿題はとらないんだよね。
宿題のが汚されてないのは、汚くしたら、写す時に自分達が汚れるのが嫌なんだもんね。
いつものこととはいえ、慣れるほど、まだ図太くない。
それでも――――・・・・!!
(とりあえず・・・・宿題をできないでクソ担任に説教される不運は回避できた。本当によかった・・・・!)
前向きに考える。
良いことだけ考えて、自分を励ます。
そう気持ちを切り替えて学校を後にした。
~吉凶入り乱れ!ツッパリ『凛』と真面目『凛』の日常!!~完~