彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
手袋をはさんでいた扉は、開けっ放しになっていた。
「凛くん、待ってたぜ!」
「りんどー遅いぞ!」
「お2人共、お疲れ様です。」
そこを通過して、外で待機していた秀君と悠斗君と合流。
帰路へとつこうとしたのだが、
「待って!」
瑠華さんが外までおいかけてきた。
「待って、坊や!」
「瑠華さん?」
その手には私の特服を持ち、体には神城さんの特服を着ていた。
「特服、ありがとう。」
「わざわざ返しに来てくれたんですか?」
「今夜ここに、龍星軍は来てないんでしょう?それなのに、龍星軍総長の特服があるのはおかしいじゃない?」
「それもそうですね。」
差し出された服を受け取ってそでを通す。
そんな動作の中で、瑠華さんの綺麗な手が私の頬に触れた。
「瑠華さん?」
「身体、大丈夫?龍志の拳食らって平気なわけないわ・・・・!」
労わるように触られ、照れ臭くなる。
「ええ・・・口の中で血の味がしますが、大丈――――――」
「やっぱり!マスクを取って!手当をー」
「え!?いえ、大丈夫です!そこまでしな―――」
「瑠華!!」
しなくていいです、と断る前に、別の声が瑠華さんの背後から声がした。
「龍志!?」
神城龍志だった。
瑠華さんを追ってきたみたいで、彼女を見つめながら口を開いた。
「俺の代わりに・・・・亜都子を守ってくれたんだな。」
「か、勘違いしないで!ビービーさわぐ小娘が、うっとうしかっただけよ・・・・!」
「変わらないな。強がってごまかすところ。」
「・・・龍志も変わってないわよ。あっちゃんも、素直なままで良かった。親友の妹なら、愛しいでしょうね。」
「瑠華・・・永山のことだが、すまなかった。ロクに話せないまま、俺はお前と別れ―――――」
「やめてよ。さっきの連係プレーでスカッとしたわ。だいたい、今さらあんたと話す気もないしね。もう少し、相手の気持ち考えなさいよ。」
「すまねぇ、瑠華。でも俺は――――――――・・・」
「今の彼女は、あっちゃんでしょう?怖い思いをした彼女をほっぽりだして、あたしなんか追いかけてこなくていいのに。」
「瑠華。」
(完全に2人の世界だな・・・)
私達の存在を忘れて話を続ける2人。
そっと手を動かし、静かに下がるようにみんなに指示を出す。
龍星軍のみんなも何かを察したようで、静かに後退していく。
そんな私達に気づくとことなく、瑠華さんと神城さんの会話は続く。