彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「早く仲間のところに、戻りなさいよ。」
「オメーを放って戻れねぇよ。」
「あたしは大丈夫よ。」
「そうは見えねぇ。オメーには、無理ばっかり・・・俺のせいで苦しめちまった。」
「やめてよ。龍志のせいで苦しかったなんて・・・ないから。」
「瑠華・・・。」
「亜都子ちゃんの前で、自分の女の前で、他の女相手にかっこつけるもんじゃないわよ。」
「大事に付き合ってるんでしょ、龍志?」
「ああ。・・・大事な女だ。」
「やっぱりね。見ててわかったわ。」
「瑠華・・・・そう言うお前は、凛道蓮と付き合って・・・」
「デマよ。交際なんてしてないから!」
「付き合ってないのか?」
「凛道蓮は、ただの坊や。見た目は族の頭に見えないけど、めちゃくちゃ強くて、あたしみたいなのにも普通に接してくれる良い男ではあるけどね?」
「じゃあ、瑠華は今、フリーなのか?」
「何が言いたいの?」
「瑠華、凛道蓮と付き合ってないなら、俺は――――――――!!」
(お、これは!?)
まさか!?
胸が高鳴る。
(神城さんからの復縁の告白!?)
「俺は、亜都子に対して、責任がある。けじめもつける!だから―――――――」
「龍志、変わってないって言ったけど、あっちゃんと一緒の時のあんたは違ってた。」
「え!?」
戸惑う神城さんに、瑠華さんは静かに言った。
「あたしの知らない、良い顔を見せてた。」
「良い顔・・・・・?」
「穏やかな・・・安心してる笑顔。それを見てたらあたし、うらやましくなったわ。龍志の笑顔を一番近くでまた見たい・・・って思ってしまった。」
「瑠華・・・。」
「まだ心に、神城龍志がいるみたいで、あたし―――――――――」
(お、これは!?)
まさか!?
胸が高鳴る。
(瑠華さんからの復縁の告白!?)
「―――――夢を見ちゃったわ。」
「・・・・俺もだ、瑠華。」
見つめあうと、優しく微笑みあう2人。
「龍志、恋人と幸せにね。」
「お前も・・・幸せになれよ、『鳴海』。」
(え?)
「「ありがとう。」」
納得したように、声をそろえてお礼を言いあう瑠華さんと神城さん。
(なんだこれ。)
おいおい、ちょっと!
そこで話、終わっちゃうの!?
(私が思ってたのと違うラブストーリーの結末!?)
〔★2人は復縁しなかった★〕