彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「うーん、素材はいいが、選べる色の種類が少ないな・・・」
「そ、そうですね!」
近い距離にドキドキする。
「凛、あれなんかどうよ?」
「い、いいと思います!」
1つのタプレットを2人で見るとか幸せ!
この時間がずっと続けばいいのに。
〔★正しくは、ネット通販の時間だ★〕
「自分の意見も言えよ、凛。俺に合わせてないか?」
「いいえ、瑞希お兄ちゃんと意見が同じなだけです。気が合いますねー♪」
「相性はいいから、決めちまえよ。今言った中だと、どれがいい?」
「えーと~こっちは色が好きだけど、そっちも捨てがたいし~あっちもいいなぁ~」
「焦るな。落ち着いて決めろ。」
「はーい♪」
嬉しいボディタッチに照れつつも、長引かせるために、迷っているふりをして決めない。
〔★恋する乙女は策士だ★〕
時間が経てば経つほど、姿勢を保つことにつかれた瑞希お兄ちゃんが私の体に体重をかけてくる。
密着度が高くなる。
「りーん、まだ決まらないのか?」
「ごめんなさーい!優柔不断でして~」
少しでも2人の時間を延長したくて、悪あがきをする。
そんな私の本性を知らないで、付きあってくれる瑞希お兄ちゃんが本当に愛しい。
チャララ~チャララ~♪
だから、邪魔が入った時が一番ムカつく。
(だれよ!?貴重なLOVEタイムを邪魔するのは!?)
「あ、わりぃ。」
そう言うと、私から離れて携帯画面をタッチする好きな人。
「どうした?」
もしもしも言わずに出たということは、私の知る限り初代メンバーからで間違いない。
誰であるかは、話の内容でわかる。
通販ページを見るふりをして、空気の読めない奴は誰かと、こっそり聞き耳を立てたのだが・・・
「・・・わかった。」
(え?)
あまり聞くことのない、感情のこもってない声。
(・・・・烈司さんかモニカちゃんか獅子島さんか百鬼のうちの誰かじゃないの・・・・?)
ツレに対する口調にしてはそっけない。
どうしたのだろうと思っていたら、背後に気配を感じた。
「っ!?」
自分の体に回された両手。
「・・・。」
ギュッ。
再度、バックハグを受けて、マスクの下の口元が引きつる。
びっくりはしたけど―――――
(わーい♪LOVEタイム再会!?)
瑞希お兄ちゃんに抱きしめられて嬉しかった。
思わず、ニヤけそうになるのを我慢しながら彼へと視線を向ける。