もういっかい恋をする
ベンチに座った。

3年前のように。

手には洸が買ってくれたココア。

「ねえ、洸。どうして急に電話してきたの?」

やっと平常心に戻れた私は聞きたかったことを聞く。

洸は足元を見つめたまま。

「ごめん。」

さっきと同じような声で同じことをいう。

意味がわからないよ。

なんで。

「ごめんって何??わからなよ。全然」

そんな優しい声で言われても理解できない。
洸。
洸。
ずっと会いたかった相川洸。

「もう、帰る。」

私は、この場にいるのが辛くて立ち上がる。

洸の考えていることがわからない。

私がこんなにも辛い思いをしていたなんて知らないくせに。

洸に背を向けて歩いた。
後ろからはなんの言葉もない。

あ〜あ、家についちゃったよ。

ほんとは、追いかけてきてほしかった。
待って。って言って、抱きしめてほしかった。

洸はいつも、私のほしいものをくれない。
なのに私はそんな彼を好きでいてしまう。

幸せになんてなれるわけ無い。
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