皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
そういえば、あの時のネイビーのドレスはとても似合っていた。



あの色…。



「なにか、ございましたか…?」

「いや、用事を思い出した。私はこれで失礼する。夜道に気をつけて、早く休むといい」

「この時のことは一生忘れませんっ‼︎」



ふたりとも嬉しそうに俺を見送った。



あんな風に、自然に笑い合うことは…俺とアリスには一生ないかも。



『グレンは優しかった』の意味がわからないまま、自室に戻る前にジェードの部屋を訪ねた。



「後宮でお休みでは⁉︎」

「なんて格好…。フェロモンダダ漏れで何してるのだ、ジェード…」

「あぁ、まぁ、私にもいろいろあるので」



後ろ手にドアを閉めたジェードは、シャツを羽織っただけで、鍛え上げられた腹筋が惜しげもなく披露されている。



へぇ、ジェードの部屋に女ねぇ。



いいとこ邪魔したんだろうな。



「アリスに贈り物をしようと思って」

「それならば明日、信用できる商人を呼んでまいります。どんな物にするか、考えはまとまっておいでですか?」

「この前、アリスが着ていたドレスのような、深い青の…なにか」

「かしこまりました」

「邪魔してすまなかったな、ジェード」

「殿下の御用ならばいつ何時でも」



顔、引きつってるけど?



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