皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
無言で殿下の向かいに座ると、ジェードさんがお茶をいれてくれた。



「怒っているのか?」

「どんな顔をすればいいのか、わからないだけです」

「少しは喜んだらどうだ。久しぶりに夫に会えたのに」

「…………逆に聞きますが、殿下は嬉しいのですか?」

「…………飲め」



こんな雰囲気、とてもじゃないけれど耐えられそうにない。



どうして呼び出したの?



いつもみたいに夜に部屋に来て私をいじめればいいじゃない。



「お前が言ったことを考えたのだが、さっぱり意味がわからなかった。グレンとしての俺も俺だし、フィンリュークとしての俺も俺なのだ」

「どうでもいいです…」

「そこまで嫌われているのだな、俺は。だけど、お前を正妃にすると決めた。これはもう、覆すことができない」

「わかっています…」

「受け取れ。俺からの贈り物だ」



トンっとテーブルに置かれた大きくて薄い箱。



中を見る前に、殿下は立ち上がってお城の中に戻って行った。



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