皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
静かに開けた箱。



中には濃紺の宝石が小さく輝くたくさんの装飾品。



「殿下がお選びになり、自らデザインにも口を出していました。一応、殿下なりに考えた結果なのですよ」

「ジェードさん…」

「アリス様が式典の時に着たものと似た様な色がいいと。紫がかっているのは、アリス様の髪の色だと思います」

「そんなこと…」

「ここまで不器用なお方だとは思いませんでした。では、私も失礼いたします」



ウソだ。



あの殿下が私のために選んだ?



意地悪なことばっかりする、あの殿下が…。



なぜか涙が溢れた。



考えて、くれていたの…?



少しでも、気にかけてくれているの?



「可愛いところもありますね、殿下」

「ヤダ、こんなの反則よっ…」

「怖いイメージばかりでしたけど、私の婚約者のアレックス殿下はフィンリューク殿下のことをとても慕っておいでです」

「そう、なの…?」

「根は、きっと優しいのですね」



そうなのかもしれない。



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