皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
ヒナと一緒に中に入ると、ソファーに座る殿下とチラリと目が合った。



殺されると思う。



そんな目をしている。



これ、私の嫌いな目。



冷たくて、感情が全く見えない。



そういえば、最近こんな目を見ていなかったことに気がついた。



「寝間着、置いていきますね」

「ありがとう、ヒナ」

「おやすみなさいませ、殿下。いい夢を」



そう言ってヒナが出て行って、残された私と機嫌の悪い殿下。



何から話せばいいのか、言葉が出てこない。



喉が急に乾いて来て、声も出ないかもしれない。



「突っ立ってないで、座ったらどうだ」



いつもより低い声は、私をいじめて喜んでいる時とは全く違うもの。



本当に怒っているのだと、改めて実感する。



「殿下、あの…」

「…………」

「申し訳ありませんでした…」



なんだか、泣きそう。



喉の奥が痛い。



もっと話さなきゃいけないのに、言葉にならない。



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