皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
どうやらお酒を飲んでいたようで、グラスに入っている中身をグッと一気に飲み干した。



「何に対しての謝罪なのだ」

「殿下が…考えてくださっていたなんて…全然、知らずに…」

「もうよい。お前はお飾りの妃で満足するのだろう?歩み寄ろうとした俺を突き放したのはアリス、お前だ」

「ですからっ‼︎謝りに来たのです…」

「…………それを聞いて、すぐに機嫌が治るとでも?悪いが、俺はそんなに単純な男ではないのでな」

「はいっ…」



ポロポロと涙が溢れてしまった。



きっと殿下は、いろいろ悩んで、考えてくれたのだろう。



その気持ちを、知らなかったといえ、踏みにじったのは私だ。



初めてお茶に誘ってくれた。



それだけで、気づけばよかったのに。



「わかり、辛いからっ…。ごめんなさいっ…」

「…………」

「どうしたら、良いのかっ、わかりませんっ」

「…………座れ」



戸惑いながら、殿下の隣に腰を下ろした。



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