皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
湖は城内で働く者なら誰でも入れる区間。



休日で釣りをする者、暖かい日には昼寝や昼食をとる者など、人が多い場所でもある。



今日も数人が、釣りを楽しんでいた。



「お魚がいるのですね」

「そうらしいな。俺は釣ったことがないが」

「降りましょう、殿下」

「降りたら乗れなくなるのではないか?ジェードに押し上げてもらってやっと乗れるのだろう?」

「そう、ですね…」



『運動は全くできないのです』と豪語するアリスは、筋肉なんてものとは無縁のようで、父親がアリスにはケガに繋がることを一切させていなかったのだ。



おかげで、ゼジルに乗るのも一苦労。



降りたら乗れないから、降りるわけにはいかない。



「あちらに行ってみるか」

「なにがあるのですか?」

「騎士団の宿舎だ」

「見てみたいです」



ゆっくりと移動して、宿舎の前まで来ると、まだ若い騎士がふたり宿舎から出てきた。



俺とアリスに気づき、この国の騎士の礼をするふたりは、どうやら休みらしく私服を着ている。



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