皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
リリーはこういうヤツだ。



魔法と薬の調合が趣味で、訳の分からない薬を作っていると聞いたことがある。



それを売りつけ、儲けでまた実験をすることを楽しみとしているらしい。



「そんなものはいらん」

「おや、お熱いこと。怯えながら眠っていた頃が懐かしゅうございますな、殿下」

「…………相変わらず俺をバカにするのだな、年増め」

「あらあら、怒らせてしまったわ」



ちっとも悪いと思ってないではないか。



昔からリリーはこういうことを誰にでも言う女だった。



見た目の美しさと、並外れた知識の持ち主のため、周りからは一目置かれているようだが。



「あっ、そうだわ‼︎正妃様、新しい薬品を作ってみたのですけど、お試しにならない?」

「薬品ですか…?どんな効果が…?」

「美容効果があるのですよ。騙されたと思って、飲んでみてくださいな」

「あり、がとうございます…」

「では殿下、またそのうち」



本当に年齢不詳だな。



俺の眠りを守っていた頃と全く変わっていない。



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