―――桜田門―――
―――あれから、連は腹部と胸を撃たれ、よく生還した。医者の腕がよかったのだろう―――。明の事は、連は覚えておらず、彼等はそれでよい―――。そう思っていた―――。
連は誠と一緒に、病室に戻ると、そこには、父親がいた―――。父親は泣きながら、「―――お前・・・何故、一緒に行ったのに・・・彼女を守れなかった―――。御前・・・俺の息子になると言ったのに―――。何故・・・お前は・・・彼女を危険な目に会わせた―――。だから、御じい様は死んだんだ・・・そこの所、よく考えておくように―――。以前、そう言っていた筈だろう。」と叫んだ―――。自分が貰われっこであり、鈴木になる前には、加木屋誠だった―――。自分の兄を逮捕しなければならない―――。だけど、彼が疾走して、鈴木になった―――。何故かというと、誠は彼女―――連と初めて会った時から、ずっと好きだった―――。なのに、結婚してしまった。加木屋忍は今、指名手配犯であり、御じい様を殺した後、行方知れずだった。
誠は辛かった―――何故、こんな奴に、行ってしまったのか―――。悔しかった。悔しかった。
『―――何故、何故・・・俺は鈴木になってしまったんだ?そうなる前に、何故・・・出会えなかったんだ?本当に・・どうして?』
以前、彼は御義じい様と御義父様に、彼女を僕にください―――。はっきりとそう言った―――。だけど、二人は同じ職業の人と、縁談があるんだ―――。自分には、連を守れ、そう言っていただけだ―――。そう聞かされていた―――。連は自分と誠の事を考えると、じわっと涙を零す。
「何で、もっと早くに、気が付かなかったんだろう。もっと早くに気づいていれば、こんな事にはならなかった―――。」
―――悔しい・・・悔しい・・・
一番、大事な事に気づいてしまったーーー。
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