浮気な彼と恋のマジックドライビング
「お弁当自分で作ってるんだ。
忙しいのにえらいななつ。
バイトもしてるんだろ?」

「うん…。
早く家を出たいんだ私。
家には私の居場所ないから」

私の家はちょっと複雑だった。

小さい頃に両親が離婚して私はずっと母と二人で暮らしてきた。

夕飯の支度をしたり、お弁当を作るのはその時の流れがいまだに続いているからだ。

私が高校に上がると同時に、再婚した母には新しい父との間に子供を授かり、私には十五も歳の離れた弟ができて…私は家族から浮いてしまった。

新しい家族の中に私の居場所なんてなくて…高校を卒業したら家を出ようと決めていた。

働きながら看護学校に通う。

私がずっと決めていた卒業後の進路。

家を出るためのお金を貯めるために部活の合間にファミレスでアルバイトをしている。

バイトをしている理由を聞いてきた柊にだけ、私は本当の理由を話した。

たぶん私は誰かに少しだけよりかかりたかったのかもしれない。
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