浮気な彼と恋のマジックドライビング
「なつ、パスの練習付き合って」

私がボールにさわりたくてウズウズしていることに気がついた彼は、時々私をパズ練に付き合えと声をかけてくれる。


そんな彼の優しさが好きだった。

『俺、片瀬柊斗。三組、君は?』

『一組の高山夏生』

彼は私に笑顔を向けると握手を求め右手を差し出した。

『宜しくな、なつ。
俺のことは柊でいい。
サッカー部の友達第一号だ』

彼だけが私のことを『なつ』と呼ぶ。

特別なんじゃないかと勘違いしてしまうくらい、自分の近い距離に柊は私を置いてくれた。

私たちは性別を越えた親友だった。

ううん、そう思っていたのは柊だけだろう。

だから私はこの想いを知られるわけにはいかなかった。

彼の特別な距離に居続けるために…
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