浮気な彼と恋のマジックドライビング
「なんだよ…これ…」


「なつさんがずっと片瀬さんから渡されたお金に手をつけずに貯めていたものですよ。

自分たちの関係が変わるときがきたらそのときは、そのためにつかう、片瀬さんを解放しなきゃいけなくなったらそのまま返すつもりだったみたいです。

ったく、なつさんにも言いましたけど本当に二人は似た者同士ですよね。

肝心な大事な想いは伝えないくせに、その先の未来は同じ景色を見てその景色を実現させるためにお金ためて。

ほんと、バカですよ、二人とも。

大事なのはまず、気持ちを伝えることですよ。

言葉にして、触れあって、それから二人で一緒にその先の未来をつくるんじゃないんですか?」

香田は俺の肩をたたき、明莉ちゃんを連れて

「じゃあごゆっくり」

と言葉を残して家を出ていった。

二人が出ていく後ろ姿を俺たちは黙って見送り、なつの手を握っていた俺の手に空いていたなつのもう片方の手がそっと重ねられた。
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