先輩の彼女
その緊張感が伝わって、私まで緊張してきた。

「僕、もっと久実さんの傍にいたい。この前、一緒に食事して、そう思いました。」

「谷岡君……」

こんな朝から、告白まがいの言葉を聞いて、持っていた封筒を落としそうになった。

「また近いうちに、会って貰えますか?」

「そ、それはもちろん。」

「それと……」

「それと?」

「僕の事は、“潤平”って、呼んで下さい。」

「潤平……君?……」


ドキドキが止まらない。

こんなシチュエーション、私、生まれて初めてかも。

うわー!

どうしたらいいんだろう。


「斎藤。おまえ、何やってんだ?こんな場所で。」

突然、ドスの利いた声が、響き渡った。

「交通費渡し損ねたから来てみれば、朝から若い兄ちゃんと、イチャついてるのか?」

「イチャついてなんか、いません!」

間野さんの登場にやっと、自分を取り戻した。

「だったら、これで!さっさと仕事に行けよ!」
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