先輩の彼女
「なあに?仕事の事?」

「違うわよ~。裕一の事。」

「ああー。彼氏の愚痴ね。」

二人で酔った勢いで、愚痴を言い合う。

そんな友達がいてもいいと思うけど、本当は好きな人も悪口なんて、聞きたくない。


どんなに意地悪されても。

どんなに彼女と仲が良くても。

どんなに悪魔だって。

好きな事には、変わりはない。

好きなモノは、好きなのだ。


「裕一って、本当に私の事、好きなのかな。」

珍しく、絹花が弱音を吐いた。

「なんで?結婚の話、進んでるんでしょ?」

「ううん。正直言うと、プロポーズもまだ。」

ちょっとだけ、酔いが冷める。


てっきり、もうプロポーズしたと思ってたから。

「タイミング、見てんじゃない?」

「そう思いたいけれど、最近喧嘩ばっかし。」


ケンカ。

その言葉を聞いて、心踊るなんて。

いつから私は、醜くなったんだろう。

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