先輩の彼女
「あいつ、私が知らない間に、女を連れ込んでたのよ。」

「えっ!!」

思わず持っていたジョッキのビールを、溢してしまう。

「大丈夫?久実?」

「ごめん。」

急いで布巾で、溢れたビールを拭く。


手が震える。

まさか、私だってバレてないよね。


「枕の位置、違ってたし。いつもはバスタオル1枚しか使ってないのに、2枚使ってたし。使い捨ての歯ブラシが、ゴミ箱に捨ててあったし。証拠は揃ってるのに、何で認めないんだろ。」

そ、そこまで!

さすがジェラシリスト・絹花!!


「でも別にいいのよ。肝心なのは、何でそう言う事したのかなのに。」

絹花は、頼んでおいたきゅうりの漬け物を、ポリポリかじり始めた。

「そうなの?」

「だって何かの理由で、そう言う流れになったかもしれないじゃない?」

「何かの……理由って?」

私は息を飲みながら、絹花に迫った。

「例えば……裕一、モテるから。相手の女性にしつこく言い寄られて。とか?」
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