先輩の彼女
「それはないない。」

私は手を横に振って、否定した。

「どうして久実が、そう言えるのよ。」

「だって見てれば、分かるもん。」

間野さんは、どちらかと言うと、男性陣には人気があるけれど、女性陣にはさっぱりだ。


それに、私は言い寄ってない。

むしろ、間野さんの方から強制的に、連れて来られた。


「はあ。私がこんなに嫉妬するくらい好きだって言うのに。裕一は、全くだし。」

「全く嫉妬しないって事?」

「そう。」

あの間野さんが、嫉妬!?


ダメだ。

想像したら嬉しすぎて、絹花にバレる。

待てよ?

嫉妬?

もしかして、潤平君とのやりとりを聞いて、間野さんが嫉妬した?

だから、他の男と飲みに行くな。

俺か絹花にしろって言ったの?

そして、一言も口も利かないくらい、怒ってた?


「それもないな。」

「ん?どうしたの?久実。突然。」

現に一番近くにいる絹花が、間野さんは嫉妬しないって言ってるじゃないか。

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