先輩の彼女
私は絹花の味方になろうと、必死になった。

「それって、仕事関係の人なんだよね。」

「ううん。完全プライベート。」

「でも、二人きりじゃないよね。」

「何言ってるの?二人きりに決まってるじゃん。」

それ以上、言葉が見つからなかった。

「それを知ってて裕一は、何も言ってこないの。私の事、心から愛してないのよ。」


間野さんに、急に会いたくなった。

傷ついてるんじゃないかって。

それだけが、心配になって。


「久実?」

私はハッとして、我に返った。

「……それじゃあ、先輩もプロポーズしない訳だよ。」

「はあ?意味分かんない。」

「絹花。結婚ってやっぱり、信頼だよ。この人とだったら、一生一緒にいられる。でも、今の絹花の行動は、一生傍にいてくれるか、先輩も分かんないよ。」

絹花は唇を噛み締めて、黙ってしまった。

私も半分残ってるビールを、飲み干した。
< 150 / 182 >

この作品をシェア

pagetop