先輩の彼女
その時、お店のドアが開いて、数人の男性が入ってきた。

「あっ、やっぱりいた。」

その男性達は絹花を見て、私達に近づいて来た。

「絹花ちゃん。元気?」

「元気元気!」

絹花は、ジョッキを上げて答えた。

「おー!面白い!どう?俺達と一緒に飲もうよ。そっちのお姉さんもどう?」

「結構です。」

私は絹花の腕を掴んだ。

だけど、絹花は何を思ったのか、私の手を払い除けた。

「いいよ。」

そう言って、立ち上がる絹花。

「ちょっと!知ってる人?」

絹花に聞くと、こっちを振り向きさえもしない。

「ううん。知らない人。」

そして絹花は、その人達と一緒に、奥の席へ向かう。

「絹花……」

まさか、一人で置いて行かれるなんて。


「確か絹花ちゃんって、彼氏いるんだっけ?」

「いるけど、あんなのクズよ。」

それを聞いて、私はテーブルを思いっきり叩いた。

それに驚いた絹花と男性達が、こっちを向く。
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