先輩の彼女
夜のタクシーの中じゃ、二人の姿が窓に映って。

結局、二人の仲のいいところを、見せつけられた。

程なくして、タクシーは絹花の部屋へ。


「運転手さん、彼女部屋まで送ってきますので、少しだけ待って貰えますか?」

「いいですよ。」

ドアが開くと、間野さんと絹花は、マンションの中に消えて行った。

もし、間野さんが明日、仕事がなかったら。

間野さんが、絹花の部屋に泊まって行く姿を、この目で見なければならなかったってわけか。

それだけは、免れたかなって、絹花には悪い事を考えた。

10分もしないうちに、間野さんは戻って来た。

「ここからだったら、先輩の家の方が、近いですよね。」

「いや、斎藤の部屋に先に行くよ。」

そう言って間野さんは、私の部屋に行く道を、運転手さんに教えた。

「私の家に先に行ったら、料金倍かかりますよ。」

「どうせ金は、俺が払うから。」

ふと、間野さんを見た。
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