先輩の彼女
「これからが大切だぞ。来月は1100冊以上売らないと、100%は超えないんだからな。」

「はい……」

「気のない返事だな。本当に分かってるのか?」

「はい……」

間野さんは、またもや気のない返事をする私に、拍子抜けしてるみたいだけど、私だってそうだ。

てっきり、嫌われてると思ってたのに。

私の事、避けるんじゃないかって、思ってたのに。

「そうだな。5,000冊も売れるようになれば、担当がもう一人くらい、つくようになるんじゃないか?」

「頑張ります。」

私には、そんな力ないけれど、間野さんの期待には応えたい。


って私、先週と変わらないじゃん。

振られても、まだ間野さんの事、諦めきれないって事ですか。

「あのな、斎藤。」

間野さんが、私に顔を近づけた時だ。


「間野。少し、来てくれ。」

部長が間野さんを呼んだ。

「はい。」

私の心拍数を上げるだけ上げといて、間野さんは部長の元へ行ってしまった。
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