先輩の彼女
白石さんは、私に手招きをした。

何だろうと思いつつ、白石さんの側に行く。

そして、白石さんが覗いていた、棚と壁の間を見てみる。

そこには驚く事に、部長の背中があって、注意を受けている間野さんの姿も、少しだけ見えた。

「知らなかった?この棚、部長の席の真後ろなんだよ。コーヒー飲んでる時、たまに部長の独り言とか、聞こえてきたりするんだ。」

「へえ~。」

新たな発見。

「その代わり、部長の悪口をここで言うと、本人に筒抜けになっちゃうから、気を付けて。」

「はい。」

白石さん。

役に立つ情報を、有り難う。


そして改めて、白石さんは隙間から、間野さんを観察している。

「あの。そんなに、先輩の事気になります?」

「そりゃあ、気になるよ。」

白石さんは、当たり前だろ?と言わんばかり。

「コンビ組んでるとさ。相手の機嫌次第で、仕事がはかどったり、支障をきたしたりするんだ。」
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