先輩の彼女
その心配が、現実になる時がきた。

週末。

絹花が、連絡も無しに我が家に、やってきたのだ。

「ちょっといい?」

「……いいけど?」

不機嫌な絹花を見て、直感的にまた、間野さんとケンカでもしたのかと思った。

でも、今までそんな事で、うちに来た事ないしな。

しかも絹花は、私よりも先にリビングに入り、ソファの真ん中に陣取った。


「ねえ、久実。私に何か隠し事してない?」

私は目をパチクリさせた。

「急になに?」

勿論、思い当たる節はない。

ううん。

ちらっと、ほんのちらっとだけ、間野さんの事が頭を横切ったけれど、間野さんがわざわざ『お前の親友に、告白された。』って言うはずがない。

しかも、振られてから1週間経ち、私の気持ちも大部落ち着いてきた頃だった。


「とぼけないで。」

「だから、なに?」

「裕一の事よ。」

少しだけ、息が止まった。

「先輩の事?」
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