先輩の彼女
まさか……

知ってるの?私が、間野さんを好きだった事。

「ここまで言っても、話さないつもり?」

「だから、何の事?」

絹花は、私の方に身体を向けた。

「先週の週末。私達、居酒屋で飲んでたよね。」

「うん。一緒に飲んだよ。」

「その時、私酔ってたから。裕一が迎えに来てくれたでしょ?」

「そうだよ。先輩が、絹花を迎えに来たよ。」

「その後、3人でタクシーに乗って帰った。私が家に帰った後。裕一、久実のマンションへ来なかった?」


なーんだ、そんな事か。

私は胸を撫で下ろした。


「確かに先輩に、マンションまで送ってもらったよ。だけど、それだけ。部屋にも来てないし。先輩、そのまま歩いて帰って行ったけど?」

絹花は、怖い顔で私を見ている。

「本当だって。間野さんに聞いてみたら?」

「何度も聞いたわよ。」

少しずつ、絹花の手が震えてきている。
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