先輩の彼女
なんだ、そうか。

私、埋め合わせか。

「分かりました。できるか保証できませんが、精一杯やってみます。」

「そうか!さすが斎藤君!」

入社以来、3年間私の上司だったら人は、嬉しそうに机を叩いた。


確かこの人、1年後輩の男の子を、他の部署がほしいって言ってきた時、目の前で断っていたんだよね。

『うちの優秀な編集者を、他の部署なんかに渡せるか!』って。

その男の子は、やっぱ担当の漫画家さんがいて、もう少しで単行本も出せるそうだ。

3年間、編集者のコマ使いしていた私とは、全く違う。


「それで、いつからですか?営業部に移るのは。」

「それがね……来週なんだ。」

「来週?」

えっ?今日、金曜日なんですけど。

「と言うわけで、今日中に荷物をまとめておいて。」

「……はい。」

私は上司に頭を下げて、自分の席に戻った。


「おっ!斎藤、今度は何で怒られた?」
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