先輩の彼女
私の隣の席で、3年間良き先輩だった山田さんが、いつものように、聞いてきた。

私が上司に怒られた時には、いつも励ましてくれていた人。

「いや、今日は怒られてないんです。」

「珍しいな。あの編集長、若い女の子を怒るのが、趣味なのに。」

あっ、やっぱり?

私もつくづくそう思ってたけど、それを編集部最終日に教えて貰えるなんて。

「実は異動になったんです。」

「異動?どこに?」

「営業部です。」

「営業!?斎藤にできんのか!?」

山田さんは椅子から立ち上がって、驚いている。

「分かりませんけど、なんとかやってみます。」


今まで編集部で使っていたファイルやノート、文房具等を一気に段ボールに詰め込んで行く。

結構机いっぱいに荷物があったのに、詰め込んでみたら段ボール一つで間に合った。

私の3年間なんて、こんなものだ。

「斎藤。これ、欲しがってたよな。」
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