先輩の彼女
「斎藤。弁当は買うな。」

「ええ!?」

「当たり前だろ。食べてる途中に食い物が、シートの中に溢れたらどうするんだよ。サンドイッチとか、おにぎりにしろ。」

コンビニで済まされたせいか、お弁当もダメ。

どこまで、鬼なんだ!

「って言うか、何でファミレスじゃないんですか?」

「ファミレス?一旦座ったら、もう運転できないだろうが。」

「私が運転しますよ。」

「だ~か~ら~。信用できないんだよ。」

間野さんは、大きなソーセージが入っている特大のパンと、コーヒーを買っていた。

私は諦めて、サンドイッチとジュース。

はぁ。

今日はついてない。

これも車の中で、ものの10分で食べ終わり、私達はあっという間に、また車道に出た。

「いつもこんな遅い時間まで、働いてるんですか?」

「いや。今日は特別。」

特別と言う言葉に、ドキンとする。

「異動初日で、こんなハードなスケジュール。大変だったな。」
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