先輩の彼女
間野さんって、笑うと可愛いんだ。

「なーんて。今日だけは入ったばかりの新人に、先輩面しただけ。明日からは、一緒に営業する仲間だから、よろしくな、斎藤。」

「こちらこそ、宜しくお願いします。間野先輩……」

暗い夜道に、街灯の光で、たまに間野さんの顔が、はっきり見える。

その度に、気づかれないように、間野さんの横顔を見ていた。


本当だったら、こんな仕事。

私に押し付けて、間野さんは家に帰っても、いいんだよね。

でも一緒に探してくれて、こうして車も出して、運転して、取りに行ってくれて。


「先輩。今日は、有り難うございました。」

「なんだ。急に改まって。」

「先輩がいなかったら、私、今日で営業辞めたいって、思ってました。」

「なんだ、そりゃ。」


本当ですよ。

先輩の優しさに救われて、営業部異動初日。

なんとか、遣りきる事ができたと思う。


そして私は、隣で運転する間野先輩の横顔に、ドキドキしながら、スーっと眠りに入ってしまった。
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