先輩の彼女

「久実も裕一を知ってたの？」

「知ってるけど、絹花の彼氏だって事は、今知ったよ。」

「そっか。そうだよね。私の親友が久実だって、裕一も知らなかったもんね。」

「ああ。」

悲しいけれど、現実だったみたいだ。


「はい、ビールお持ちしました。」

「じゃあ、乾杯しよ！」

「おう！お疲れ、斎藤！」

「お疲れ様です、先輩……」

ビールを飲み終わると、絹花は不思議そうに聞いてきた。


「久実、裕一の事、先輩って呼んでるの？」

「一応ね。隣の席で、いろいろ教えて頂いているから。」

「へえ。裕一、親切な先輩なんだ～。」

絹花に誉められて、満更でもなさそうな顔をする間野さん。

「お前だって新人が隣にくれば、先輩ぶっていろいろ教えるだろ？」

「私は逆。教えて私より目立つようになったら、嫌だもん！」



やばい。

胸が痛い。

二人の会話に、いちいち嫉妬する。

間野さんの言葉や態度に、一喜一憂するほど好きなのに。

なんで寄りによって……